『演劇を観に行かない理由』に関わる業界事情!? 一流の舞台俳優に「仕組みと本音」を聞いてみたよ。


こんにちは。シナリオクラブの竹森裕哉です。
先日、twitterを見ていたら、こんなアンケートと記事がありました。

ツイッターで「演劇を観に行かない理由」というアンケート調査を行っていてこんな結果が出ています。

シナリオクラブは演劇がテーマなので、アンケート結果を見ると・・・・・

 

チケットの値段が高い

27%
移動する時間、交通費に見合わないと思う

16%
行きたいと思っているが調べ方がわからない

16%
そもそも演劇に興味がない

41%

 

このツイートに対してこんな意見もコメントでありました。

 

>>以下引用

 

フライヤーから読み取れる情報が少なすぎる
→どんな話なのか一切わからない
→事前情報が少なすぎる
→あらすじ、キャスト、テイストがわからない場合が多い

付随して

面白いかどうかもわからないものにお金を払えない
→宣伝力が足りてない
→逆に間違いないと思える作品(劇団四季など)にはお金を払える

演劇のほとんどが東京なので地方に住んでいると見に行くことが難しい
→交通費、宿泊費、時間のねん出が困難
→地方公演が少ない

チケットの取り方がわからない

演劇の情報はここの劇団、団体で行っているので、どこで調べればいいかわからない

コミュニティが閉じていて、排他的な印象を受ける
→知識やマナーがわからないし、身内ノリがひどい(初見だと近づけない

子連れ世帯にはいくのが難しい

演劇というものに縁がない
→見たことがあったとしてもつまらなかったから二度と行かない。

 

60%の人が抱える不満

 

演劇に興味がないが41%なので、逆に約60%の人は、少しは興味を持っているんですね。
これは、ちょっと救いです。演劇は大切な文化ですものね。でも・・・

 

チケットの値段が高い

27%
劇場まで移動する時間、交通費に見合わないと思う

16%
劇場まで行きたいと思っているが調べ方がわからない

16%

 

これでは演劇ファンがなかなか増えないと思うし、コメントもなかなか手厳しい・・。
どんな内容かわかりにくい、地方公演が少ない、チケットの取り方がわからない、独自のルールがあったりする?排他的!!?

 

なるほど・・・・

 

実は、私も同じように感じる事があるので、演劇離れは仕方ないと思うのです。
なぜなんだろう。解決はできないけど、業界のルールがあったり、そうならざるを得ない理由があるのじゃないか?

 

というのを、今回は現役の俳優であり、シナリオクラブのメンターでもある清家栄一さんに、

「実際そこのところどうなの?」

と色々聞いてみました。

 

 

清家栄一 プロフィール

テレビ・映画出演を経て、1976 年蜷川幸雄演出の「オイディプス王」で初舞台。

以 来、「王女メディア」「近松心中物語」「天保十二年のシェイクスピア」「ハムレット」「リア王」「ロミオとジュリエット」「オセロー」等の彩の国シェイ クスピアシリーズ、「ファウストの悲劇」「血の婚礼」「祈りと怪物」「元禄港歌」など、蜷川幸雄氏の絶大なる信頼を得て、蜷川作品に最多出演。シナリオクラブ・チーフアドバイザー。

NINAGAWA STUDIOのプロフィールページ

清家栄一インタビュー

 

清家さんとのインタビュー

竹森:こんにちは!!今日はよろしくお願いします。

 

清家:お願いします。

 

竹森:早速ですが、ツイッターで、演劇を観に行かない理由やコメントを見てどう思います?

 

清家:演劇って割とチケットの値段が高いですからね~。27%ですか・・。「見たことがあってもつまらなかったので二度と行かない」

 う~ん。高いチケット買ってくれたのに、つまらなかったら二度と来てくれないですよね。確かに。

 

竹森:せめてフライヤー(劇場のチラシ)がわかりやすかったら「見てみよう」と思うのですが、コメントにあるように、「フライヤーがわかりにくい」というのはなぜなんですか?

 僕もよくフライヤーもらいますが、色は黒やダーク色、原色が多くて、裏面を見ると出演俳優さんが出ていて、大体同じ感じ。で、どんな話?と思っても、よくわからない。なぜなんでしょう?

 

清家演出やストーリーをフライヤーでネタバレしたくないというのがあるのかな。舞台で驚かせたいので、フライヤーでは多くは語らないようにというのはあるかもしれない。

 

清家:フライヤー作成って、かなり前から準備して作るんですが、実は、フライヤー作成中や作成後に稽古が始まることが多いんですね。台本があるんで、ストーリー自体は変わらないのですが、稽古をこなしていくと「やっぱりこっちがいいな!」って舞台の演出や雰囲気が変わっていきます。作品作りってそういうことが多いんですよ。だからフライヤーを作ったときに表現できる内容は少ないかもしれない。

 フライヤーを作る段階でしっかりと話が決まっていて、最後までそのままでいく場合だと、フライヤーにしっかり情報を載せられると思うんですが。フライヤー作る段階で、誰も話が分からないってケースも・・・台本そのものも序盤しか決まってなくて、ストーリーも未定。おーい、今日の分の台本、できたぞ~なんてね。笑。

 

竹森:え、そうなんですか!!だから雰囲気やイメージと出演者を押し出していくフライヤーになりやすいんですね。

 

清家稽古の最後で、全体の雰囲気が変わるケースもあります。

 

竹森:そうなるとフライヤーで全部を語るのは難しくなりますね。でも、映画なんかはどんな内容か、わかりやすい気がするんですが?  

 

清家:映画は動画で宣伝しますしね。でも映画撮影初めのころに宣伝用に動画作ることもあります。

 宣伝に入れたシーンが実は映画の中ではどこにも使われてないこともありますよね。映画撮影終盤に、CMを映画で使ったシーンに変えたり。

 

竹森:そうなんですか! 演劇もいっそ途中経過を映画みたいにTVやムービー動画で告知したらいいのにと思いますが。

 

清家:そうだよね!!ただ、演劇の稽古段階だと、セットがない事が多いからなあ。TVでも時々みる稽古風景というやつです。それを撮影して、予告になるか?難しいかなあ。

 

竹森:確かに。映画の作り手は映像のプロだから予告動画なども作りなれてますしね。

 

清家:あとは観客のキャパシティの差もあるかもしれません。最近ではライブビューイングみたいに、映画館でライブ配信している演劇もありますが、基本は1つの劇場の観客席が満席になってしまったら、それ以上は入れられない。

 映画は色々なところで上映できますが、演劇は基本的に一つの劇場での上演なのでキャパシティが決まっています。

 

清家:公演日数も決まっていて、映画みたいにヒットしたら期間延長なんてことも基本的にはできない。役者のスケジュールって決まってますから。予算の問題もあって、大々的に動画を作ってCMというのも難しいのかもしれません。そのためどうしても、お客さんが情報を探しに行かないといけない。

 映画館ならいろんな場所にポスターがあって「見たことがある」というのと違って、演劇は「今この劇場でしか上演していない」から見つけにくい。でも逆に言うと、この俳優、この作品をこの瞬間にしか見えないというのが最大の魅力です。同じ作品でも日によって違う。まったく同じものは二度と見れないですから。

 

竹森:確かに、演劇って生で見る臨場感がすごくおもしろい。

 

清家:演劇は視線誘導の技術が醍醐味の一つです。たとえば映画だと、場面の切り替えや視線誘導はカメラワークや編集の仕事ですが。生の舞台ではカメラワークはありません。何百人の観客の視線を上手く誘導する技術が求められます。

 

竹森:なるほどー!

では、広い劇場にして、観客数を増やすのはどうですか?そうすると、もっと広く宣伝できる?

 

清家:うーん、演劇の場合、劇場の大きさも重要です。例えばコンサートだと、音が主役なので音響機材で、観客に音を届けられますが、我々は演技そのものを見てもらう事が重要です。

 劇場が大きすぎると、役者が遠すぎて豆粒しか見えず、結局なんだ?てことになってしまいます。顔の表情や細かいしぐさも作品です。役者の汗が見えるくらい近さだと、とても臨場感があって面白い。

 

竹森:キャパシティが限られているから演劇のチケットも高くなっちゃうんですか。

 

清家:そうだね。ある程度の規模の舞台だと、やる場所が一か所しかない分、どうしても高単価になりやすいですね。

 公演も、今だと都内で20日くらい、地方だと4~5日くらいかな。地方と言っても、大阪や名古屋みたいな大都市がほとんどだけど。

 

竹森:4~5日! 短いですね・・・

 

清家:実は地方公演の場合、滞在費などはほとんど主催者が出しているんです。なので、集客も考えると長く滞在できないのです。

 東京でも昔は一か月くらい公演が続いていたんですが、最近公演日数が減ったのも、観客が減った事が関係しているかもしれません。

 

竹森:公演日数が短くて、単価が高いと気軽に観にいけませんね。

 あと、演劇って、どうしても敷居が高いイメージがあるんですが。

 

清家:そうかなあ・・・。それは先入観でしょうね。初見お断りというのはないです。

 観劇マナーというのも映画館みたいに上演中はスマホをいじらない、私語をしないといった基本的なものです。

コアなファンがいる場合は、ファン同士の暗黙のルールはあるかもしれませんが、一般の人は気にせず見に来てほしいと思います。

 

竹森:じゃあ、演劇を失敗せずに観るとしたらどうすればいいんでしょうか。

 

清家:一発目に面白いものを見るというのが一番良い形ですが、その見極めは難しいなあ。

 

竹森:これなら絶対おもしろいという鉄板みたいなものってあるんでしょうか。

 

清家:うーん、年代や好みでも違うしなあ・・・。難しいですね。

むしろハズレを避けるというより、興味を入り口にするほうがよいかもしれません。

 好きな小説が舞台化されたとか、好きな俳優が出ている、みんなが面白いと言っているから。

という入り口でよいと思います。

なので、好きなものが舞台化されたから行こう。そんな気持ちで行ってくれたらうれしいなって思います。

気軽に街角でみて「これやっているじゃん、見ていこう」というのも難しいかもしれない。

 でも、たいてい、当日券を販売しているので、もし、ちょっと面白そうと思ったらぜひ観てほしい。演劇は実際に観ると、本当に臨場感や迫力に圧倒されます。

 

竹森:わかりました、ありがとうございます!

 

まとめると

チケットの値段が高い

これは、ライブであること、臨場感を大切にしていることがあるようだ。

でも、その分、絶対その時間しか観られないレアな体験ができる!!かな。

 

劇場まで移動する時間、交通費に見合わないと思う 

地方公演が少ないのは、本当です。東京は恵まれているんですね。

 

劇場まで行きたいと思っているが調べ方がわからない 

劇の情報が少ないのは、広告と舞台の製作時間のギャップが大きいかも。

これは、もう少しわかりやすく告知してほしい。

 

 

自分も演劇を初めて観る前は「高い!」と思っていたのですが、面白い作品を観てから、

しっかり演劇ファンになってしまいました!!

「演劇に興味はあるんだけど・・・」と迷っている方の道しるべになればと思います!

 

シナリオクラブでは、無料体験のレッスンを行っております。
自分も俳優気分を味わいたいと思うときは是非ご参加ください。

体験レッスンについて詳しくはこちら ご入会の流れ