「公演を見逃したら手遅れ!」「情報が少ない!」演劇の舞台の悩み。解決のカギはネット動画にあるかも!!

スタッフの竹森です。

今、舞台公演の宣伝をするため、プロモーション動画を作ってます。

さて、宣伝活動で、ちょっと考えさせられることにぶつかりました。

僕は、シナリオクラブで演劇レビューを書きますが、読んでもらう頃には公演が終わってたり。

うーん、悩ましい。舞台公演=生ものだし、下記のような問題があります。

1.見逃したら手遅れ。

2.情報を探すのに手間がかかる。

今日はこのあたりについて詳しく話します。

問題その1、見逃したら手遅れ。

舞台は目の前で繰り広げられる「生もの」なので、見逃したらどうしようもない事が多いです。公演期間も短いしね。

公演期間の短さについては仕方がないのかもしれない。

・公演期間の短さは仕方ない

舞台は、公演日数が増えるほど人件費、劇場費などがかかってきます。

そしてキャパシティが限られているので、大々的にCMを打っても、基本的に売り上げは客席×日数が最大値

このキャパシティを超えられないので、公演日数×客席を計算したうえで、公演期間を決定しなければいけません。

毎日満席であれば嬉しいのですが、どんな人気作品でも、公演が長ければ長いほどだんだんと観客が減っていきます。

だから、見極めがものすごく大切だし、下のエントリーでも書いたように、観劇人口が減ってきた今の時代、公演期間が短いのもうなづけます。

【9/3追記あり】20年間で、演劇の市場は盛り上がった?縮小した? 詳しく調べてみました。

一方で、人気がでたら延長するのが難しいのも舞台の特徴です。

映画と違って、公演を延長しようとすると、

・役者のスケジュール

・スタッフのスケジュール

・劇場のレンタル期間

これらの問題から、公演の延長は簡単にできません。

公演期間に関する問題は本当に大変。

・再演までの期間が長い。

また、再演までの期間も長め。

大人気の作品でも、再演するためには、次の事を考えなくてはいけません。

1..会場のスケジュールによって、再演時期が左右される

2..再演の役者のスケジュールを抑える必要がある

3..スタッフのスケジュールや、舞台セットなど

これらの理由によって、たとえ初演と同じことをやろうとしても「一か月後に再演しよっか!!」ってならないんだと思います。

再演までの期間が長いと、観たい人の熱量がどんどん薄れていくわけで・・・難しい・・・。

ただ、、公演が終了した作品でも、「観劇三昧」さんみたいなネット配信で見ることは可能。ですが舞台は、やっぱり生で見るのが一番楽しい。

映像化すると、どうしてもその魅力を再現しきれない問題があります・・・。

問題その2、情報を探すのに手間がかかる。

面白いものを観たい! でも公演期間は短い! 公演情報を見逃さないために、何を見ればいいのか。

情報を知る一例として、

・チケットぴあ

・カンフェティ

・こりっち

などなど。昔はシアターガイドもありました。休刊してしまったけど。

あとは劇団のHPを探したり、口コミを探したり。

でも、「この作品を、観に行くべきかどうか??」って判断が本当に難しい。

舞台って千差万別。チケット代は安くないし、上演時間も長いから、ハズレを引くとショックが大きい。

そのためにネットなどで調べるんですが、結局はググって、あちこちに散った情報を探す羽目に。

なので、本当は上記のサイトなどに、情報が全部載ってくれたら嬉しい。映画.COMのように。

画像や動画などが少ない

また、チケットぴあやカンフェティの作品紹介を見ながら大きな疑問が。

何故、動画や画像をあまり使わないのか

カンフェティ、こりっち、チケットぴあ。

この三つのチケットサイトを見て思うのですが、「公演情報がほとんど文字」

何故文字なんだ!?

例えば、映画なんかで見てみると、「映画.COM」さんは公演情報に画像も動画も載っています。

映画.com「キングダム」より

各ページに行くと、予告編や、フォトギャラリーでどんな作品かわかるようになってます。

キングダムの、この予告編が、もし仮に文字だけで説明されたらどうなるか

紀元前245年、春秋の戦国時代、中華・西方の国「秦」

戦災孤児の少年の信と漂はいつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛錬を積んでいた。ある日、漂は王都の大臣である昌文君によって召し上げられ王宮へ。信と漂の二人は別の道を歩むことになる・・・。

王宮では王の弟、成蟜によるクーデターが勃発。戦いの最中、漂は致命傷を負うが何とか信の納屋にたどり着く

「お前に頼みたいことがある」

血まみれの手に握られていたのは、ある丘に建つ小屋を示す地図だった。

キングダム公式サイトより

文字だけで説明されても、映像と同じくらい情報が伝わるのか難しいところです。

その点、映像って、ぱっと見で、ストーリーだけでなく、面白そうかどうかまで分かるのですごいなぁと思います。

問題を解決するにはどうしたらいいのか

ここからは僕の個人的な意見です。

演劇は

1.生ものなので、見逃したら手遅れ。

2.情報を探すのに手間がかかる。

これらの問題の解決に「ネットでの動画配信」が手掛かりになりそうです。

生ものなので、見逃したら見れない。

「見逃したら手遅れ。」については、観劇三昧さんのような配信が良い方法だと思います。

でも、今の舞台をそのまま配信するだけだと難しい。

何故なら、時間の長い動画になるほど、人は見なくなる。

動画の時間の長さと視聴のデータですが、

米国WISTA社のweb動画データより

動画の時間が長くなるほど、視聴者は減少。60分の動画だと最後まで見た方は1割程度です。

舞台を動画に収めると、余裕で一時間を超えます。

演劇好きの人なら1時間見ると思うけど、ライトユーザー層に見てもらうには、いかに、コンパクトに面白くまとめるかが、重要なのかなと思います。

一方で、舞台をうまく動画配信するって、今がチャンスだと思います。なぜなら全世代、ネット動画を見る時間が長くなってるので。

「博報堂 動画は「見て楽しむ」から「使いこなす」時代へ。」

2017年のデータですが、一日当たりの動画視聴時間が全年代70分越え。

多くの人が、色々な動画をネットで見ているので、短くまとめた舞台のダイジェストって、けっこう需要があると思います。僕も見たいもの。

そして舞台公演の宣伝につながると思う。

「芝居は生ものだから予告が作りづらい」という意見もあるかもしれませんが、「劇団 新感線」などはきっちり予告を作っています。

こういう予告動画や、ダイジェスト版がいろんな劇団から、どんどん出たらいいなとか思っています。

2.情報を探すのに手間がかかる。

そして動画配信は、「2.情報を探すのに手間がかかる。」にも関係しているんじゃないかと。

映画だと、「カメラを止めるな!」みたいに、口コミから広がってロングランという効果が期待できます。

ちなみに映画の予告編は、半年前から準備を始めるそうです。

映画公開の半年前ぐらいに約30秒の特報と言われる映像、3ヶ月前ぐらいに約90秒の予告編、そして3週間ぐらい前に15秒や30秒のTVスポットを出すというのが大きな流れとしてあります。基本的にはその流れに沿って動いていく感じです。

映画の“予告編”はどう作られる? 『ジェイソン・ボーン』制作担当者が語る裏事情

舞台は、公開してから口コミが広がっても、公演を延長しづらいし、下手すれば口コミが広がる前に公演が終わってしまいます。

ならば、舞台も口コミだけでなく、半年前などに予告編を作り、その動画をカンフェティやチケットぴあで見れるのが理想の形じゃないかな。

これは、カンフェティやチケットぴあの協力が不可欠ですが・・・。

まとめ、ネット動画時代、まだまだ改良の余地がある舞台

正直な話、ネット動画を活用している劇団って、まだまだ多くないと思います。

2.5次元や、劇団新感線は本当によく動画を活用していると思う。

これは刀剣乱舞の予告編。公演半年前にアップされてます。

舞台のライブ感は、その場ならではの臨場感や迫力があってこそ。だから、ただ舞台を映像にすると、舞台の魅力を薄めて映像に置き換えただけのものになりがちです。

いっそ全く違う切り口でなんとかできないものか。それこそ音楽とライブコンサートの関係みたいに。

今は簡単に動画が作れる時代。いろんな劇団がPV作って公開したりするのも良いと思います。それが大きな流れになった時、演劇業界に変化が訪れるんじゃないかな。

そのために、僕は、ネットとの親和性がまだまだ低い演劇の世界に、ネット動画を初めとしたテクノロジーをどんどん導入すべきだなと思います。

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