千代延 果穂(松田かほり)

千代延 果穂(松田かほり)

日本大学芸術学部演劇学科卒業

演出家:蜷川幸雄主宰 NINAGAWA CAMPANY 出身
「仮名手本忠臣蔵」「近松心中物語」「元禄港歌」「にごり江」「七人みさき」「真夏の夜の夢」「なぜか青春時代」「血の婚礼」「昭和歌謡大全集」等の蜷川幸雄演出作品をはじめ、東宝・TPTなどの商業演劇、カムカムミニキーナ・扉座・キャラメルボックス・大人の麦茶などを始めとする多くの小劇場、CM、TVなどに出演。
スケートリンクの氷上からテーマパークの路上、個人宅のリビングルームや重要文化財建築物で演ずるなど活動の幅は広い。
2011年の震災以降は「手の届く距離でお芝居を楽しんでほしい」との想いから、音楽家とコラボしてCafeなどでの上演も続けている。
主宰・演出・出演の自主企画公演も手がける。

 

☆声に出して台詞を話すということ

日々の生活の中で
自分の想いを自由に口に出すのは
なかなか難しいですよね?
知らない間にストレスをお腹に溜めて
いつの間にか便秘になってしまう…
そんな時には

ぜひ声に出して台本を一緒に読みましょう!
好きなだけ愛を語っても
好きなだけ悪口を言っても
良心の呵責に悩む事もありません!
『あんたなんか大キライ』
なんて言ったところで
それは台本に書いてあるから!笑


私たち役者は自分なら決して言わないであろうセリフも話します。
もしかしたら一生、口にしないかもしれない言葉にも出会います。
その時、身体中の細胞がびっくりします。
そして
お腹の中に深く眠っていた記憶が引っ張り出されて昇華してゆくのです。

 

以下はNLPのコーチングトレーナーの文からの引用です。

『カウンセリングをしていて、自分の感情を言葉にすることに無意識に恐れを抱いている日本人の多さに気づき、その訓練には言葉を発するということが大切だと確信しました。
自分の感情を言葉にするのは上級なので、先ずは他人の感情を自分の声で出す。
バカにしないでください、これ、めちゃくちゃ効果あるんです!
「好き」という言葉も「大嫌い」という言葉も大声で言ってみてください。本当にスッキリします。ぜひ、ご体験ください!』

少し理屈っぽい事を書いてしまいましたが
本当はただただ楽しんで頂きたい!
今日も楽しく台詞を読めるよう私達も精一杯お手伝いいたします!

☆役者のお仕事に想うこと

この仕事はとにかく人ありきです。
相手役、共演者を始め演出家やプロデューサーなど様々なスタッフ、そして観客。
年間を通して実に多くの方々と出会い、濃い時間を共に過ごします。
例えば舞台の場合はたった一か月かそこらの稽古で、人生の深い部分を共有している人間関係をお互いに作り上げ繰り返し演じていきます。

これこそが役者の仕事の真髄となる喜びである、と同時に苦しみでもあります。
自分の役をはじめ、相手役、共演者、いかに人と向き合うか、それはいかに自分と向き合うか?に繋がり、自分でも見たくない気づきたくない深い自分を認め、それを人前に晒していく作業の繰り返しです。
まず自分が何を良しとし何を否とするのか?がわからなければ自分ではない人間を演ずる事は難しいと思います。自分の演ずる人間と自分自身との違いを明確にする事で役が近づいてきます。
その上で状況を把握し作品上での人間関係を育んでいきます。

このプロセスで大事なのが身体の状態を把握する事だと私は思っています。
どの感情、どの状況の時に、どんな身体状態になっているのか?
演技とは感情を再現する事ではなく(もちろん切り離す事は出来ません!)身体の状態を再現する事とも言えます。

ですので演技する時には、実は持てる全ての感覚を目覚めさせてフル回転させていながら、
矛盾するようですが、フル回転状態でありながら頭が空っぽとでも言いましょうか?瞑想状態のような澄んだ大きなエネルギーで全身を包んでるかのような状態になります。
そういう状態になれない時も、もちろんありますが、これは習慣で意外とすぐ出来るようになります。

 

役者を始めたばかりの頃は、その状態をコントロールする事など出来るわけもなく、というより、そんな状態を知る由もなく、それ以前の空回りの時間がとても長かったです。みなさん、役者として目指す場所そのものが違っていたり、また個人差もありますので一概には言えませんが、職人と同じで演じ続けていれば程なく誰でも出来るようになると私は思っています。

その作品が終われば
もう一生会わないかもしれない人々と、そんな深い状態で人生を共にする。
1人では成し得ない事も、多くの人々と力を合わせる事で驚くほど大きな感動のエネルギーを産んでゆく。役者として、これほど嬉しい瞬間はありません!

役者の仕事は見た目と違い、地味な職人技のようなものです。
自分を知り自分をコントロールする。

 

そして一番大事なのは
どんな状態の自分であれ、自分を信じる事。
どんな状態の自分であれ(2回言いました笑)自分を認め自分を愛し自分を信じる事。

時に自分が無力に感じられ全てをあきらめたくなる事もありますが(おそらく誰でも、どんな仕事でも)そんな自分を否定せずに、言い訳せずに、ただ寄り添う。

その時間が宝となって明日に繋がっているのだと想うのです。

長くなりました。
お読み頂いて ありがとうございます。
自分の声と相手の声とのキャッチボールを
どうぞ楽しんでくださいね!

〜kaho chiyonobu〜

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