【重要ネタバレあり】スパイダーマン ノ―ウェイホームが100点満点の一億点で、過去の全ファンを救済してきたので感想を書く事にした。

一年ぶりくらいに書くブログが、いきなりMARVELになってしまった。

アベンジャーズエンドゲームでトニースタークの物語が終わり、MARVEL熱が完全に消沈していました。

ただ、スパイダーマン ノ―ウェイホームがファンにぶっ刺さるというので見に行ってきました。

結論から言うとぶっ刺さるどころかオーバーキルされました。

もしサムライミ版から20年に渡るスパイダーマンの映画を見てたよって人は是非映画観に行ってほしい。すべてがこの作品で報われる。

この有り余る熱量を文章に変換しなければと思い、久々に筆を執りました。

まだ見に行ってない人は、このネタバレページを閉じて、何も観ず、聞かずに今すぐこのページを閉じてチケットを買いに行くんだ。

とりあえず過去の劇場版スパイダーマン作品を並べていくよ。

スパイダーマンは、今回のマーベルユニバースの3部作を除くと5作品出てます。

サムライミ監督の通称初代と言われるスパイダーマン。

この通称初代スパイダーマン(以下初代)3作品まとめて全世界で25億ドルの興行収入を誇りました。

ロードオブザリング三部作が29億なので、歴史に残る人気作でした。

引用:PRiVATE LiFE エンタメデータ&ランキング

20年近く前の作品なのに今見ても普通に面白いからオススメです。

私はこの初代がめちゃくちゃ好き。親愛なる隣人スパイダーマンがとても人間臭いのが特徴。

高校生活でめちゃくちゃ根暗でいじめられっ子のピーターが、超人能力を手に入れて、だんだんとヒーローに目覚めていく過程が丁寧に描かれています。

1で人間として成長、2ではヒーローと日常生活のギャップに悩み、3では過剰な力に振り回され、作品全体が人間ドラマと成長に焦点を当ててます。

しかし、監督やキャスト降板などの大人の事情で4作目は作られなかった。

 

続いて、リブート作品(昔のもののコンセプトを変更したり、新しい解釈をして作品を作ること)として作られたのがアメイジングスパイダーマン(以下アメイジング)

リブート(コンセプトは同じで設定が違う)なので、スパイダーマンになる経緯までは似ていますがピーターを取り巻く環境がガラっと変わっています。

ピーターパーカーはイケメンだし、学園生活も充実しています。

人間ドラマ的な成長要素は初代に比べて薄めで、科学技術の脅威が主題になっているのですが、なんと2の最後でヒロインのグウェンのキャッチに失敗して死なせてしまいます。

そこから人間ドラマ路線を見て観たかったのですが、初代と比べて興行収入が伸びずに2で打ち切りに・・・

 

そしてMCU版(以下MCU)

「もうみんなスパイダーマン知ってるでしょ」てことで、スパイダーマン誕生までの展開をバッサリ切っています。

どっちかというとマーベルの他作品から地続きな感じ。

トニースターク譲りのナノマシンや、ストレンジ先生の魔術ありで、なんでもできるスパイダーマンですが、ヒーローとしての責任よりも、恋や学校生活に悩むまだまだ高校生という感じ。

そしてその3作目が今作のノ―ウェイホームです。

ざっくりとしたあらすじ

前作の偽のヒーロー、そして敵でもあるミステリオから「スパイダーマンが自分を殺そうとしている」「スパイダーマンの正体はピーターパーカーだ」

と正体をバラされた上に、マスコミに偽造映像を流されてしまい、濡れ衣を着せられたピーター。

自分だけならまだしも、親友や恋人までが「スパイダーマンの知り合い」というだけでひどい目に合ってしまっている。

現状を何とかするために、ドクターストレンジに禁断の忘却魔術を使って、全世界に「スパイダーマン=ピーターパーカー」を記憶から消そうとする。

しかし魔術の途中で邪魔が入り、なんと並行世界とつながってしまい、「スパイダーマンを知るもの」が次々とこの世界呼び出されてしまう・・・・。

蘇るかつてのヴィラン

並行世界から呼び出されたのは、まさかの初代、アメイジングのヴィラン(敵役)達。

これだけでもうれしいのですが、なんと当時と全く同じキャストが演じてます。

グリーンゴブリン = ウィレム・デフォー

ドクターオクトパス = アルフレッド・モリーナ

サンドマン = トーマス・ヘイデン・チャーチ

エレクトロ = ジェイミー・フォックス

リザード = リス・エヴァンス

いやいや同窓会かよ!!!!世界一豪華な同窓会かよ!!!

予告編でドクターオクトパスは同一キャストなのは分かったけど、

流石に他キャストは一新されているのかなと思ったらマジで全員一緒!!!

ウィレム・デフォーがグリーンゴブリンとして出てきた瞬間なんかは、あまりの懐かしさと、20年ぶりとは思えないほどの全く衰えてない怪演っぷりにうるっときました。

もう十何年前に公開された作品で、大人の事情で「もう絶対このシリーズの続編はありえない・・・・」と諦めていたら、不意に当時のキャスティングで、キレキレの役見せてくるんだもの。

100万点あげたいわ!!!

何がすごいって、俳優の芝居が20年前からほぼ衰えてないところです。グリーンゴブリン、ドクターオクトパス、彼らの風貌や雰囲気が当時そのままでスクリーンに出てきます。

「やっぱり20年前の作品だしね」なんてことは一切ありません。

かつて映画の中で見た奴らがそのままやってきました。

そしてあいつらも・・・!

ネットでささやかれていた噂の彼らも戻ってきます。

初代スパイダーマン:トビー・マグワイア

アメイジングスパイダーマン:アンドリュー・ガーフィールド

事前情報から「もしかして出演するかも」的に言われていたけど、チラッと映る程度で出演かなと思っていました。

ところが、ばっちり大活躍します!!

トビーマグワイア、アンドリューガーフィールド、お帰り。十何年ぶりのスパイダーマンだね。

もう二度と見えないと思っていたし、散々空想していたトビーやアンドリューのスパイダーマンスーツ姿の新作を見た瞬間、なんか胸にこみ上げるものを感じました。本当によく版権問題をクリアしてくれた。

 

しかもただ戻ってきたわけでは無く、最後の作品からそれなりに年を取った設定がつきました。

初代はナイスミドル、アメイジングは大人になっています。

年取ったからこそ、高校生のMCUピーターの力になれるというのがまたエモい。

絶対に揃わないと思っていたトムとトビーとアンドリューの3人のピーターが兄弟のように仲睦まじいんですよ。

この3人のショットを拝める日なんか来ないと思ってたし、何なら、過去のスパイダーマン映画は無かったことにされたも同然だと思ってました。

仮にトビーやアンドリューが出てきても、全く別の役で出てくると思ってました。

そうしたら、全員ピーターパーカー役。しかも過去のスパイダーマン映画の世界からやってきたわけで、こんなもの20年前からスパイダーマン映画を見ていたら、夢の競演なんてレベルじゃない。

ノ―ウェイホームは、ファンを含めた全員の救済の物語

ここまでの展開だけだとただの過去作品のキャラ勢ぞろいのオールスターお祭り映画かなって思うでしょ。

ところがノーウェイホームは全然違う。

過去のスパイダーマン映画の中で倒してきたヴィラン達をもう一度倒すのではなく、

「もし彼らを倒さずに救うことができたとしたら?」

という、かつての映画の展開の真逆です。

別世界から来たヴィランは死ぬか破滅直前にMCUの世界に飛ばされました。

ヴィラン達をそのまま送り返せば、スパイダーマンに倒されます。でも、もし能力を治療やコントロールすることができたら?

一方で、ヴィランを倒さざるを得なかったスパイダーマン達も、ヴィラン「救う」という選択をしていたら?

過去の映画で出来なかった「救済する未来」を描いたのが今作でした。

過去の映画本編で実現しなかった、あり得たかもしれないシーン盛りだくさん

この映画の何が良いかというと、初代やアメイジングでは実現しなかったシーン盛りだくさんです。

・本編で無限のエネルギーの人工太陽作成に失敗して死んだドクターオクトパスが、無限のエネルギー成功版のアークリアクターを手に取る。

・本編でスパイダーマンに憧れと憎しみ抱えて死んだエレクトロが、アメイジングピーターに心境を吐露して和解する。

・ノーマン(グリーンゴブリン)をずっと治すことを考えてた初代ピーター。

・MJのキャッチに成功するアメイジングピーター。

過去の映画でみんなが抱えていたトラウマや想いを一つずつ丁寧に紐解いてくれるわけで、言ってしまえば歴代の描けなかった部分の救済です。

20年近くにわたるスパイダーマンの過去7作品を踏まえた上で、それらをなかったことにせず、全てを生かし切った上でこのノーウェイホーム一作品に凝縮してくれた。

これって、とんでもないことで、「ファンが望んだ展開」や「ファンが予測した展開」ではなく「ファンがどれだけ待ち望んでいても、(版権問題などで)絶対に叶わないであろう展開」を持ってきてくれたわけです。

もう100点中9000万点です。

初代は3作目、アメイジングは2作目で終わって、MCUスパイダーマンが作られたため、過去のスパイダーマン映画は事実上なかったことになっているんだなと思ってました。

MCUで新作が出ようとも、「でも、これは過去のスパイダーマンとは違うんだよな」ってモヤモヤしていたファンはおそらくいっぱいいたはず。

そんなモヤモヤを抱えていたら、MARVEL公式が「過去の作品たちは無かったわけじゃない。物語は続いていたんだ」と描き切ってくれたんですよ。そりゃもう感無量。

劇場に観に行った時、もう中盤から涙腺がぶっ壊れてずっと泣いてました。

もう感動しすぎて言葉に言い表せないくらいうれしかった。

スパイダーマンの根幹のテーマ「喪失と覚悟」

そして、この作品がただのオールスターお祭り映画で終わらなかったのは、MCUピーターが、「喪失と覚悟」を経験して真のスパイダーマンとなる、スパイダーマンの物語の王道を走るストーリーとして作られているからだと思います。

初代とアメイジングのスパイダーマンは、親友や叔父、恋人との離別でヒーローとして目覚めていきます。

MCUピーターも、今作で大切な人を亡くし、さらに世界を救うために、あらゆる人の記憶から存在そのものが無かったことになります。

MCUピーターがスパイダーマンの王道を進む物語として描かれ、ピーターが全てを失う。

決して大団円で終わらないからこそ、オールスター大集合でも存在感があり、深みのあるストーリーになったのだと思います。

20年に渡るスパイダーマン映画の集大成

途中にも書きましたが、まあ劇場で映画見ながら泣きましたよね。

MCU版スパイダーマンが出ても、「まあ、彼らは初代やアメイジングのスパイダーマンとは違うしね」みたいな感じで。

そしてこのノーウェイホームにかつてのスパイダーマン達が出るという噂が流れた時も

「うれしいサプライズだけど、まあ端役みたいなものかな。下手な演出があって思い出が崩れたら嫌だな・・・。」みたいな斜に構えた感じでした。

だから公開当初に真っ先に観に行かず、一週間ほどして、「ネタバレ踏むのも嫌だし観に行くか」と重い腰をようやくあげたのを覚えています。

 

でも実際に観に行ったらヤバかった。

スパイダーマンの愛しか溢れてなかった。

過去作品全部ひっくるめて「これはスパイダーマン達の物語だ」と真っ向から言われた。

半ば打ち切りになった過去作品をなかったことにせず、ただのおまけにせずにしてくれたんです。

20年間で何度も映画の打ち切りを食らって、変な方向にこじらせてしまったスパイダーマン愛を、真っ向から受け止めてくれる作品でした。

この作品には、「生半可なものは作らない。たとえどんな困難が待ち受けていても、みんなが待ち望んでいたものを絶対に作り上げる!!」

そういった気概と愛を感じました。

かつての俳優全員集めるのに、かつてのキャスティングを再現するのに、かつてのストーリーを踏襲するのに、しかもコロナ禍なのに。

どんだけ頑張ったんだよ。

この作品にどんだけ頑張ってくれたんだよ!!!!

スパイダーマンを追ってたファンに、とんでもないものを持ってきて・・・。

エンドゲームは辛すぎて何度も観えなかったけど、この作品は何度でも観にいけます。

でも、こんなご時世だから劇場に何度も足を運ぶのは大変だと思う。

だから、ディスク買って欲しい。というか永久保存版にしてほしい。

ディスク早く出てほしい。僕は何度見ても泣くと思う。

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