「ザ·空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」

作・演出 ┈ 永井 愛
演出
美術 ┈ 大田 創
照明 ┈ 中川隆一
音響 ┈ 市来邦比古
衣裳 ┈ 竹原典子
ヘアメイク ┈ 清水美穂
演出助手 ┈ 白坂恵都子
舞台監督 ┈ 増田裕幸

宣伝美術 ┈ 永瀬祐一
宣伝写真 ┈ 西村淳

票券 ┈ 熊谷由子
制作協力 ┈ 飯野千恵子
制作 ┈ 安藤ゆか
キャスト
安田成美 井原まひる ビデオジャーナリスト ネットTV局「アワタイムズ」代表
眞島秀和 及川悠紀夫 リベラル系全国紙政治部記者・官邸キャップ
馬渕英里何 秋月友子 大手放送局政治部記者・解説委員
柳下大 小林司 保守系全国紙政治部記者・官邸総理番
松尾貴史 飯塚敏郎 保守系全国紙論説委員・コラムニスト
日程
劇場
舞台は、大手メディアの政治部が入居する国会記者会館。
国会議事堂、総理大臣官邸、内閣府などを一望できるこのビルの屋上に、フリーのビデオジャーナリストが潜入する。そんな彼女が偶然見聞きした驚くべき事件とは‥‥。
このことをきっかけに、考え方も立ち位置も異なる5人の記者が抜き差しならない状況に追い込まれる。
この演劇を見た人
竹森裕哉さん

おすすめ度
脚本のストーリー性 5
役者の表現力 5
演出の巧さ 4
演出の奇抜さ 2
舞台装置の芸術性 3
客席と舞台の一体感 4
劇場設備の充実度 4
敷居の高さ 5
見た人の感想

裏に隠された、現代への痛烈な皮肉!!

ストーリー

首相答弁を控えたある日のこと、記者会館の共有コピー機から重大な書類が見つかる。
それは、「首相に書面通りの質問するので、書面通りに答えてください。」という、メディアと政権の忖度の証拠とも重要な書類だった!
これが公になれば、メディアと政権の癒着の証拠となり、報道の信用性が失墜、そして政権への大ダメージになってしまう!

幸いにも、存在を知るものは数人。書類をめぐって国会記者会館の屋上で秘密の話し合いが行われる。
発見した者。穏便に済ませたい者。スクープにすべきか考える者。政権を考える者。真実として公表すべきとする者。
その選択は正しいのか?正義なのか?抜き差しならぬ状況に追い込まれる5名。
彼らは「空気」を読むことができるのだろうか。

みどころ

脚本、ストーリー、俳優陣の演技レベル、どれをとっても抜群に面白い!
「政治と報道の癒着」という重いテーマにも関わらず、コメディとシリアスが絶妙なバランスで展開されています!
報道の危機というほどの重大な事態にも関わらず、みんなの行動がどれもコメディのような掛け合いばかり。特に、「えーそんなこと言ったっけ?」「え?そんな声だった?」みたいな笑えるような掛け合いは必見です!
でもよくよく考えてみると、実際の世界でも同じようなことが行われてたりするわけです。表向きはコメディな笑いなのに、じっくり考えると、裏側で痛烈な皮肉の利いた表現であり、「よく考えられてあるなぁ」とびっくりしました。
また、俳優陣が実力派ばかりなので、演劇のレベルが素晴らしく高い!
俳優陣一人一人がセリフが無いところでも、しっかりと存在感を発揮!!それでいて、他の俳優掛け合いを邪魔しない、絶妙な存在感を出せるのは驚きです!
演出面でも、時々垣間見える日常の世界、報道の人でもそこには家族があって日常がある。その日常があるからこそ、苦悩してしまう。演技力に裏付けされた人間臭いリアリティさが存分に感じられます。

個人的感想

すごくオススメできる作品で、演劇初心者でもとても楽しめると思います。
私は前作の「THE空気」を見ていないのですが、第25回読売演劇大賞にて最優秀演出賞(永井愛)優秀作品賞(二兎社)優秀女優賞(若村麻由美)と、とても評価が高かったそうです。
実はこの題材、2000年に実際にあった出来事がモデルとのこと。
「本当にありそうな気がする」記者同士のやりとりや、担当している政治家が出世すると、記者が育てたと言わんばかりの記者と政治家の奇妙な関係が描かれます。
また、この舞台で初めて知ったのですが、記者クラブって日本独特の制度なんですね!
記者クラブがあることで、独占的な情報提供を得ることができるし、首相や大臣の会見も記者クラブを通して行われる。
その中には、このシステムで、果たして公正な報道ができるのかという痛烈な皮肉が作品に込められています。
思いっきり笑いながらも、最後はうーんと考えさせられる。色々な方に幅広くお勧めできる必見の作品です!

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