一流の舞台俳優の失敗談を聞きながら、舞台の失敗について考えてみた。

映像作品と違って、撮り直しができないのが舞台。

ライブである限り、いろいろなことが起きます。僕も以前やらかしたことがあります。

大舞台の時に、大事な大道具を間違えて撤収してしまって、冷や汗どころか滝汗まで出たことが・・・

舞台公演の裏方を手伝って、色んなトラブルがあったけど、それでも続けたいと思った話。

このあたりの経緯は上記に書いてあります。

さて、舞台によく聞く失敗談。

セリフを間違えること?

舞台上で何か起きること?

舞台道具をミスすること?

失敗した後どうなるのか。何が起こるのか、どう乗り越えるのか。

僕自身、上記のような失敗をしてしまい、引きずってしまったことがあります。

でもそういったものは教訓を生かして乗り越えるしかない。というわけで、舞台で失敗してしまって落ち込んでる人に向けて、舞台俳優経験40年を誇るメンターの清家さんに聞いてみました。

こんな失敗したよの体験談について


失敗談と、乗り越えた話が聞きたいので、いろんな失敗談聞いてもいいですか?


よくあるミスは、※出とちりかな。 ※出番のタイミングをはずしたり、出番をまるまるすっぽかしたりすること。

たぶん、出とちりを経験したことがないって俳優はいないくらい、一度はやったことがあるミスじゃないかな。

僕はすっごい昔に帝国劇場でやったことがあるよ。

あそこ8階まで楽屋があるのよ。そして舞台が1階にあってね。

当時はモニターがなくて、音を聞いていたら「あっ!!出番だ!!」と思ったけど、もうどうしようも間に合わないってのはあったね。

やった瞬間、血の気が引くよね・・・。

もし、出とちりした役の人が、重要な役の場合、出てくるまでほかの人が必死でつないだりすることもある・・・。


出とちりはいろんな方から聞きますね。

出とちりしても、そこを飛ばして進むこともあるよ。

逆にその人がいなくても成り立つ悲しさはあるけどね・・・。

それはちょっと悲しい・・・・。


変わったミスなら、すっごい昔だけど、天井から板が落っこちてきたことがある。

これは本当に驚いて、一瞬セリフが出てこなかった。


事故じゃないですか!!


なんとかアドリブを交えながら切り抜けたけど、場が凍ったよ・・・。


昔はおおらかな時代だったんですね・・。


あと、ほかの変わった失敗なら、30分くらい死体役をやってたら、どこからともなくいびきが聞こえてきて、誰かが寝てたってのもあるね


うわぁ・・・。

ただ、死体が眠くなるのはわかります・・・。僕も死体の時に睡魔と戦ってました・・。


余談だけど、死体役って、動かなければ死体だから、やりやすい役なんだよね。

その分、安心して気が緩むんだよね。


特に布かけられた死体だと、客席も見えませんからね・・・。

ついつい気が緩んで睡魔が襲ってくるんで、必死で唇噛んで自分を起こしてました。


死体で寝返りうっちゃったって話も聞いたことがある。


死体なのに動いちゃったんだ・・・。死体なのに・・・。


ちなみに蜷川さんはミスがあったとして、一生懸命やって失敗したなら怒らない人だったよ。

怠惰だった時は怒ったけどね。


怠惰っていうのはどういうものです?


怠けちゃうってのは、何も考えず稽古に来ることや、同じ失敗を繰り返すこと。蜷川さんはそういうときにものすごく怒った。

舞台に出てる俳優が、遊んじゃったり怠けちゃうとダメ。

また、遊ぶってのは、舞台に場慣れしちゃって、お客さんに見えないように悪ふざけしちゃうこと。

舞台に慣れてくると、俳優が舞台で芝居しててもついつい気が緩んでしまう場合もあるんだ。

お客さんに見えないように突っついたりしてふざけたりしてね。それはもう論外だよね。

そういう部分をお客さんが観ちゃうと、お客さん側としてはやっぱりすごく腹立つよね。真剣じゃない部分が見えちゃうし。


折角見に来ているのに、手を抜いているのが分かったら嫌ですね・・・。

舞台の失敗の定義って何だろう。


結局、舞台の失敗って何なんでしょうね。


失敗の定義が難しいね、作品としての失敗なら、「お客さんが全く来なかった」とか「作品がものすごくつまらなかった」も失敗になるよね。


確かに。では芝居の失敗というとなんでしょうね?


そうだね、芝居の失敗というのは、お客さん目線で見たときに、せっかく舞台に没入してたのに、白けさせたり不快な想いをさせたら失敗なのかもね


清家さんがよく言う「芝居が壊れる」ってやつですか?


そうだね。芝居が壊れるっていうのは、お客さんに失敗を気づかれて白けちゃうっていうことに近いかな。

さっきの「遊ぶ」というのもそうだよね。

あとは、例えばの例だけど、セリフ忘れて、何も出なくて、完全に素に戻っちゃって、舞台袖に戻って確認して帰ってきたりしたら、そういうのはお客さんに完全に気づかれているわけだし、「壊れる」ってことに近いかもしれない。

ただし、セリフを忘れても、相手役が助けてくれて、場が逆に盛り上がる場合もある。

一生懸命やっていると、舞台って案外壊れないものなんだ。


ミスしても、逆に「貴重なシーン観れた!!」ってなりますね。


真剣にやっていると、全員で「舞台を成功させよう」って想いがあるから、トラブルがあっても乗り越えるんだ。

だから真剣にやっている限り、何かが起きても舞台が壊れることはそんなにないね。

舞台の失敗についての結論!!

舞台上では、様々なトラブルがつきもの。

でも、セリフを忘れる、小道具を忘れる、出番をミスするというのは一生懸命やっている場合はみんなでカバーして、もっと良い方向に行くのかもしれません。

つまり

一生懸命やっていることは、失敗じゃない!!

一方で、手を抜いたり、ふざけることが論外であり、失敗につながることなんだろうなと思います。

この辺りは、日常社会でも一緒だと思います。

でも失敗した人に、どう接すればいいのか、清家さんに「人がミスしたら」の話を聞いてみました。


僕は、相手役とかでなければ、ミスしても、声かけないです。かけれないですね。そんなに軽々しく「まあまあ」とか「落ち込むな」なんて言えない。

冷たいわけじゃなくて、声かけても本人からすると、声かけることで傷をほじくり返すかもしれないです。

最後はミスした人自身が、それと向き合って乗り越えてくれたらいいなと思います。


やっぱり、最後は、自分自身と向き合って乗り越えるしかないんですね。

 

というわけで、ミスしたときに、安易な解決策みたいなものはないみたいです。

でも、ミスにとらわれ続けず、ミスを教訓にして自分を成長することができたら、成功なのかなと思います。

 

「失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ。」トーマス・アルバ・エジソン

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